Webから200インチの大画面へ。三位一体の「企み」が、ショールームを予約困難に変えた話（後編）

前回、「だれでもシミュレータ」を用いたWebプロトタイプで、メーカー様の確信を勝ち取った広告代理店のディレクターK氏と私たち。しかし、そこからプロジェクトはさらなる高みへと加速します。

きっかけは、メーカーのプロジェクト担当者様が発した一言でした。

「WebARでの展開は素晴らしい。でも、せっかくショールームに来てくださる先生には、スマホの画面を超えた『特別な接客体験』を提供したい。この3D資産を使って、何か圧倒的なことはできないでしょうか？」

この「現場の接客体験を底上げしたい」というメーカー担当者様の熱い想いを受け、ディレクターのK氏と私たちは、これまで培ってきたUNITY開発実績、「小型ボートの操船シミュレータアプリ」開発の知見を応用したハイエンド展開を提案しました。

「手軽さ」から「究極の体験」へ。Unityへの方針転換

ここからプロジェクトは、Webブラウザの枠を超えたUnityによるハイエンド・アプリケーション開発へと舵を切ります。

医療機器、特に歯科ユニットのような精密機械のシミュレーションにおいて、最も重要なのは「リアリティ」と「実機を操作しているかのような納得感」です。ここで活きたのが、操船シミュレータ開発で培った「物理デバイスとの連動技術」でした。

操船シミュレータは、画面内のボートを動かすだけでなく、実物のコントローラ（スロットルやハンドル）とソフトを連動させ、実機さながらの操作感を実現するという高度な仕様。この「外部デバイスからの入力をリアルタイムに反映し、違和感のない体験として構築する知見」を、歯科ユニットのシミュレーションに注入しました。

「質感」の徹底した作り込み
 200インチの超大型ディスプレイに映しても耐えうる、シートのレザー感やメタリックな光沢、微細なパーツのディテールをUnityで再構築。

「組み合わせ」の完全網羅
 数千通りにも及ぶカラーとオプションの組み合わせを、大画面で瞬時に、かつフォトリアルに切り替え。

「時間」と「空間」で変わる日照
実際に設置される空間に合わせて、太陽光の入り方、時間によって変わる変化も完全にシミュレーション。

クライアントの想いを、K氏とAgWORKSが形にする

メーカー担当者様が描いた「接客体験の向上」というビジョンを、K氏が最高の商談シナリオとして演出し、私たちが技術で具現化する。

暗転した空間で、200インチの巨大スクリーンに先生が選んだ「理想の一台」が実物大以上の迫力で浮かび上がる。先生が手元のスイッチを操作すると、目の前のスクリーンで自分だけのユニットが瞬時に形を変え、色を変える。まるで、まだこの世にない自分のための実機が、そこに存在しているかのような感覚。

三者の想いが一つになり、これまでにない商談の形が完成しました。

導入後の成果：予約の取れないショールーム

運用が始まると、メーカー様から私たちの想像を超える報告が届きました。

「シミュレータでの体験を目的に来場される先生が急増し、ショールームの予約枠が数ヶ月先まで埋まってしまった」というのです。

これまではカタログを見て「想像」するしかなかった高額な機器。それが、購入前に「確信」に変わる。メーカー担当者様の「接客をより良くしたい」という現場目線のアイデアが、圧倒的な集客力と成約率の向上につながりました。

広告代理店の皆様へ：AgWORKSは「並走」するパートナーです

今回の成功は、クライアント様の深い製品知識と現場感覚、代理店様の戦略的なディレクション、そして弊社の技術力が噛み合った結果です。

AgWORKSは、単なるツール貸しの会社でも、指示待ちの開発会社でもありません。 「クライアントを勝たせるために、何が必要か？」を共に悩み、1つの3DデータからWeb、AR、そしてUnityによる究極の体験までをワンストップで形にするパートナーです。

「クライアントの想いを技術で実現したい」 「現場の課題を解決する、驚きのある提案をしたい」

そんなディレクターの皆様、ぜひ一度AgWORKSにご相談ください。 共に、次の成功ストーリーを作りましょう。

（前編：「始まりは一通のメールから。歯科機器メーカー様とのDX挑戦記」を読む）